高圧受電設備や工場、ビルの電気工事において、必ず目にする「CVケーブル」と「CEケーブル」。
名前が似ており混同されがちですが、この2つには明確な違いがあります。特に近年は環境規制や安全基準の強化により、使い分けの重要性が高まっています。
今回は、それぞれの構造の違いから、その用途までを分かりやすく解説します。
結論から申し上げますと、両者の最大の違いは 「シースの素材」 にあります。絶縁体(電線を覆う内側の層)はどちらも「架橋ポリエチレン」で同じ性能を持っていますが、一番外側を守るカバーの材質が異なります。
特徴 | CVケーブル | CEケーブル |
正式名称 | 架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル | 架橋ポリエチレン絶縁難燃性ポリエチレンシースケーブル |
シース素材 | ビニル (PVC) | 難燃性ポリエチレン |
燃焼時のガス | 塩化水素などの有害ガスが発生する | 有害ガスが発生しにくい |
煙の量 | 黒煙が多く、視界を遮る | 煙が少ない |
環境配慮 | 鉛・カドミウム不使用 | 重金属類不使用、ダイオキシン抑制 |
CVケーブル: 従来のスタンダード。ビニルシースを使用しており、加工しやすくコストパフォーマンスに優れています。
CEケーブル: CVケーブルの「エコ・安全バージョン」。シースを難燃性ポリエチレンに変更することで、火災時の安全性と環境負荷低減を実現しています。
CEケーブルとCVケーブルは、電気的な性能、耐熱は最外層のシース(外皮)素材の違いにより、以下のような物理的・環境的な差が生まれます。
耐候性・耐環境性
l CVケーブル(ビニルシース): 耐候性や耐水性に優れており、屋外や地下埋設など過酷な環境でも長期にわたり安定した性能を発揮します。
l CEケーブル(ポリエチレンシース): 難燃性ポリエチレンは、一般的なビニルに比べて紫外線や水分による劣化が進みやすい傾向があります。そのため、屋外での長期使用には注意が必要で、主に屋内の公共施設などに採用されます。
柔軟性・加工性
l CVケーブル:柔らかくて扱いやすい
シース素材であるビニル(PVC)は比較的柔らかく、柔軟性に優れています。狭い管路への挿入や、複雑なルートでの回収が容易で、作業者にとって最も扱いやすいケーブルと言えます。
l CEケーブル:硬めだが進化中
シース素材のポリエチレンは、ビニルに比べて分子構造が密で硬いため、全体的に硬い傾向があります。最小曲げ半径が大きくなる場合があり、狭いスペースでの取り回しには多少の工夫が 必要です。
コストと安全性のどちらを重視するかで、採用される現場が変わります。
CVケーブルの用途:
l 一般的な工場、ビルなどの建築物
l 屋外露出の配線用
l 電力の送電用
CEケーブルの用途:
l 公共施設、商業施設、病院、学校(人命に関わる場所)
l 地下街、トンネル、鉄道(避難経路確保が重要な場所)
4. 価格とコストパフォーマンス
最終的な採用決定において、価格は重要な要素です。
CVケーブル
l 価格: 安価。
l 理由: 原材料(PVCなど)が安価であり、製造工程が確立されているため、最もコストパフォーマンスが高い選択肢です。特別な環境規制がない場所では、経済的なCVが選ばれます。
CEケーブル
l 価格帯: CVより割高。
l 理由: ハロゲンフリー素材や難燃性ポリエチレンなどの特殊素材を使用しており、製造コストが高くなります。一般的にCVケーブルよりも20%〜30%程度高くなるケースもあります。
選定基準 | おすすめケーブル | 理由 |
コスト重視・一般工場 | CVケーブル | 安価で柔軟性が高く、施工も楽。 |
安全性・環境重視 | CEケーブル | 火災時に有害ガスが出ず、機器へのダメージが少ない。 |
狭い配管・複雑なルート | CVケーブル | (または高可とう性)柔らかくて取り回しが良い。 |
公共施設・トンネル | CEケーブル | 法令や条例でハロゲンフリーが指定されることが多い。 |
CVケーブルは「実績と経済性」、CEケーブルは「安全性と環境性能」に優れたケーブルと言えます。
設計や工事の際は、単に「高圧ケーブル」として選ぶのではなく、「火災時にどのような影響が出るか」「設置場所の規制はどうなっているか」を確認し、適切な方を選択することが重要です。