水トリーとは?発生原因や対策方法
水トリー現象とは、ケーブルが絶縁破壊に至る前兆となる現象である。
ケーブル周辺の水分と局所的に集中した電界が原因で、絶縁体である架橋ポリエチレンが樹枝状に亀裂が発生す状態です。水分の多い環境で長時間通電を継続した際、ケーブル内の突起や隙間に存在する不純物などが原因で一定である電界が不均一な電界が起点となって亀裂が進行する。木の枝のように進行していくので「ツリー」→「トリー」とこのような名前がつけられている。
水トリー現象には以下の3種類がある。
・内導水トリー・・・内部半導電層に発生し、そこの突起から外部に侵食していく。
・外導水トリー・・・外部半導電層に発生し、そこの突起から内部に侵食していく。
・ボウタイ状水トリー・・・絶縁物中に製造過程でできるわずかな隙間から侵食していく。

水トリー現象はケーブルの絶縁体内部
や各層間の隙間、水分、電界が原因となって発生する。特に地中埋設などの浸水の可能性がある電路
には注意が必要である。
隙間 | 製造過程で混入した異物や気泡、ケーブルの外傷や繰り返し応力による隙間 |
水気 | ケーブルが水に浸っていると絶縁層内に水滴が発生しやすくなる |
電界 | 回路の開閉サージや雷サージなど、系統に発生する異常電圧 |
水トリーが進行すると、導体部とシース部が導通状態となり高圧地絡へと発展する。地絡すると、UGSやPASにて地絡保護の継電器が働き全館停電となる。地絡した物件の全館停電で済めば良いですが、昔の設備などでは
責任分界点に保護継電器が設置されていないと地絡状態が継続し、送電側で電源が遮断され周辺地域が停電する波及事故となる恐れがある。最悪の場合、賠償責任に発展する可能性もあるため、地絡する前に防止策を講じなければならない。
水トリー現象を防ぐためには、水トリーを発生させる3つの要因を避ける必要がある。具体的には次のような対策が有効である。
EEケーブルを使う | 絶縁体である樹脂部分に異物が混入する可能性が低くなる |
ケーブルを水に浸さない | ケーブルの隙間に水滴を発生させない、結露させない |
電源遮断操作に留意する | 開閉サージを発生させないよう、電流が流れている状態で回路を遮断しない |
戦いの鍵は「空隙の封殺」にある。製造工程で混入する異物、応力で生じるクラック、層間の剥離——これらの微小な空隙に水分が侵入し、電界応力が部分放電を誘発する。従来のテープ式半導電層では、巻き戻し時の機械的応力が新たな空隙を生む悪循環が避けられなかった。この構造的宿痾を克服したのが、導体から外部半導電層までを一気通貫で押出成形する「三層同時押出技術」である。KIBORのEE高圧(3300V/6600V/11kV/22kV/33kV) CVケーブルが実現したのは、材料界面における分子レベルの密着性だ。異物混入リスクを激減させるこの製造プロセスこそ、内導・外導水トリーを根絶する技術的決断である。
水分の脅威は潜在化するが、KIBORケーブルは創業以来ケーブル分野の専門メーカーとする技術の光で、0.1μmの亀裂さえも許さない覚悟で社会を照らし続け、高品質の誓約を静かに物語っている。