特別高圧蓄電所
日本政府は2050年までにカーボンニュートラルを達成することを目指している。これにより、再生可能エネルギーの導入が急務となり、エネルギーインフラの転換が求められている。
カーボンニュートラルの達成に向け、再エネの導入促進は、日本の国家戦略の中心に位置しており、特に太陽光発電の更なる導入を進めなければならない以上、出力制御問題の解決は避けて通れない。この背景の中、系統用蓄電所の採用が期待されている。
系統用蓄電所事業とは、電力系統に大型蓄電設備を単独で接続し、蓄電池の充放電によって収益化を図る事業である。蓄電池を活用して周波数調整とピークシフトを行うことで、電力系統の安定性を確保しながら収益化を実現し、高圧·特高蓄電所は、日本の電力ネットワークの安定性を支える重要な役割を担っており、再生可能エネルギーの出力変動を緩和することで、電力供給の安定化に大きく貢献する。
特別高圧蓄電所:電力系統の安定化の要
特別高圧とは、7,000Vを超える高い電圧区分を指し、大規模な工場や商業施設、そして送電網の中枢(変電所など)に供給される電圧レベルである。
電圧の種別 | 定義 |
特別高圧 | 7,000Vを超える電圧 |
高圧 | 直流の場合750超~7,000V以下、交流の場合600超~7,000V以下の電圧 |
低圧 | 直流の場合750V以下、交流の場合600V以下の電圧 |
この特別高圧レベルで電力系統に直接接続される大型蓄電システムが「特別高圧蓄電所(EHV BESS)」である。その規模は一般的に10MWから100MW以上にも及ぶ。主な役割は:
1. 再エネ出力変動の緩和:
太陽光発電が急に増えた余剰電力を吸収し、日照不足時の電力を供給。出力変動を平滑化する。
2. 周波数調整:
電力需要と供給の微妙なバランスを維持し、系統周波数を安定させる。
3. ピークシフト:
電力需要が少ない夜間に充電し、需要がピークとなる昼間に放電。効率的な電力運用を実現する。
4. 系統安定化:
瞬時の充放電で、電力品質の向上や系統事故時のバックアップに貢献する。
日本政府の後押しもあり、系統用蓄電池市場は爆発的に拡大している。全国で接続検討受付が約1,200万kW、契約申込が約112万kWに達し、まさに再エネ時代の「次の目玉」技術として注目されている。
こうした国家的なエネルギー転換の流れの中、日本初となる特別高圧系統用蓄電所が福岡県で建設されている(2025年秋運転開始予定)。この画期的なプロジェクトの成功には、電力の大動脈となるケーブルの性能と安全性が極めて重要で、そこで選ばれたのが、当社のKiborケーブルである。
このプロジェクトでは、Kibor製の3300V高圧アルミケーブルおよび33kV高圧銅ケーブルが採用された。これらのケーブルは、なぜ日本のエネルギーインフラに革命をもたらす「特別高圧蓄電所」にふさわしいとされたのだろうか?その理由は「三位一体」の革新性にある:
l 規格適合性:海外製ケーブルとの互換性課題を解決する国産基準完全準拠設計により、適合リスクを根絶する。
l 信頼性:高性能導体・材料の使用により、優れた導電性、低抵抗、長期安定性を確保している。Kibor製ケーブルは電力損失を最小化し、コストを削減し、過酷環境下でも安定運転を実現し、こだわりのケーブル選びとなる。
l 技術支援:設計から運用まで一貫した端子端末接続ソリューション提案などの技術支援を提供する。
福岡から日本へ:新たな電力インフラの標準を目指して

福岡県での日本初の特別高圧蓄電所プロジェクトは、単なる設備導入ではなく、Kiborケーブルが体現する「規格適合性・信頼性・技術支援」という三位一体モデルによって、日本の再エネ基盤を根底から強化する挑戦である。
このプロジェクトが成功し、全国に展開されることで、出力変動に悩まされない再エネの大量導入が加速する。それは、災害に強く、持続可能な電力インフラの新たな標準となるだろう。
特別高圧蓄電所は、カーボンニュートラル実現のための不可欠なパズルである。Kiborは、その中核を担う電力ケーブル技術で、日本のエネルギー転換と明るい未来の構築に貢献してまいり、福岡での挑戦に、ぜひご期待ください。